バンクーバー島のトーテムポール
2008.08.30 Saturday
「アラート・ベイのトーテムポール」
バンクーバー島の北端にあるアラート・ベイを見下ろす丘には、クワギュール族の墓地公園があり、たくさんのトーテムポールが立っている。もともとは各個人の家の前に立てられていたものを移動したトーテムポールである。トーテムポールは、日本ならば戸籍謄本見たいなもので、その家に住む人たちがどこから来たのかを現しているものなのである。思いつくまま刻んでいるわけではないのだ。
「鷲や熊やカラス」
トーテムポールの文化を持つ部族は、カナダの西海岸に住むクワギュール族、ハイダ族、トリンギット族などの6部族しかない。ネイティブならどの部族でもトーテムポールを持っていると思うと大間違いなのだ。
これらの部族はトーテムポールだけではなくて、レットシーダーで作るお面でも素晴らしい作品を残している。
「クワギュール民族博物館」
クワドラ島にある博物館に行った。そこにはポトラッチのダンスで使われたさまざまな人の顔のマスクが展示してあった。制作者のイメージが素直に伝わってきて、とてもリアルな顔と木彫の技術に驚いた。
「不気味なマスク」
ちょっと不気味だけれど、このようなマスクを付けてポトラッチや儀式のとき、彼らは踊っていたのだ。これらマスクやトーテムポールの美術的な価値に目をつけた白人たちが、詐欺のような安い価格で持ち帰り、コレクションした時期もあった。だがいまはそのような作品の返還運動が盛んになった事を受けて、この博物館にもシカゴの美術館からトーテムポールが送り返されて来ていた。
ただし、送り返されたトーテムポールは朽ちていく運命が待っている。僕は自分たちの文化遺産として保存しないのかと疑問に思ったけれど、ネイティブたちには、朽ちて土に帰ればそこからまた新しい命が芽生えてくる、再生するのが自然であるという考え方なのだと説明された。もったいない気もしたが、そういうものが彼らの文化なんだ。
「夕方のトーテムポール」
バンクーバー島のビクトリアには大きな民族学博物館があって、そこにはネイティブたちのトーテムポールや仮面がたくさん収集されていた。ブリティッシュ・コロンビア大学の博物館にも物凄い量のネイティブカナディアンのトーテムポール、仮面などの木彫が収集されている。初めて見たときは、その量と大きさに圧倒されてしまった。2年後にはバンクーバーで冬季五輪が開かれるので、行かれる方は良い機会なのでぜひ見てもらいたいと思う。
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