勝ち組の風景
2009.07.30 Thursday
「docomoビル」
大沖縄展という新宿伊勢丹で行なわれていたイベントに行ってきた。
伊勢丹6階の催し物会場で沖縄物産展、屋上ではオリオンビアフェスタが開催されていて、沖縄から来たミュージシャンたちのライブが次々に行なわれ盛況だった。
ぼくはスパイスレコーズのミュージシャンたちが出演するのを楽しみにしていた。ちょっと早めの時間に出かけていって、会場の様子をビールを飲みながら眺める事にしたのだ。
伊勢丹の屋上からは写真のように、NTTドコモのどこかニューヨークを思わせるビルが目の前に見える。この風景がとても世相を表しているなぁと感心してしまい、つい写真を撮った。
携帯電話会社の利益は、なんだかんだと言いながらもけっこう順調のようだ。が、一方デパート業界はといえば長期低落の代表のような業界になってしまった。今回のような催し物をして集客しながら売り上げを伸ばす、という方法は完全に飽きられてしまっている。
「屋上は暑かった。都会の亜熱帯リゾートと化していた」
集まるのは駅弁大会だったり北海道の物産展だ。食べ物ばかりだね。そこでは、高級品でもついでに買って帰ろうか、なんて気持ちにならないもの。でもなんとか人を集めて売り上げを伸ばそうとしているから、その気持ちを感じてつい大沖縄展だけは毎年来てしまうのだな。
ドコモの勝ち誇ったようなビルを、盛り下がるデパートの屋上から眺める風景には、時代にアップアップしながらついていくアナログな業態と勝ち組のデジタルな業種のコントラストがよく見えていたのだった。
日本で最も美しい村の音楽会
2009.07.29 Wednesday
「第二回小さな森の音楽会」
日本で最も美しい村に選ばれた長野県中川村で、今年も「小さな森の音楽会」が開かれる。
今年のタイトルは「HARVEST MOON」だ。収穫時期に行われる音楽会なので、良いタイトルだと思う。
実はこの音楽会、僕にとても縁のある音楽会なのだ。というのはこの音楽会の実行委員会の人々が中川村のフットサルチームが中心になって行なわれるからである。僕らのフットサルチーム少林サッカーズと中川村フットサルチームは長年交流していて、一緒に沖縄フットサルフェスタに参加したり、中川村アップルカップと称して交互に相手のホームコートへ遠征し、試合を重ねているのだ。
そんな交流の中から生まれた音楽会なのだ。
少林サッカーズには、杏里や平原綾香の音楽プロデューサーの小倉泰治さんがいて、彼の選んだ実力ある本物のミュージシャンたちがボランティアで、一夜限りのスペシャルバンドを組んで音楽会をしたら面白いね、ということから始まったのである。
沖縄好き、音楽好き、スポーツに理解のある曽我村長さんと奥様もこの話に賛成、ということで二年前に第一回を開催したら、ものすごく良い演奏会になって盛り上がった。東京でも滅多に聴けないような素晴らしい演奏だった。
なので第二回はもっと良い演奏会にするべくみんな力が入っている。
今年は、天竜川の河川公園での野外音楽会にバージョンアップ、星空と川のせせらぎの中で芝生に寝転びながら、素晴らしい演奏を聴く音楽会となる。
ぜひ駒ヶ根市や飯田市など近隣にお住まいの方はこの音楽会に足を運んでいただきたいですね。料金も安いし、なんたって最高レベルの演奏が生で聴けますから。
今回は、東京新宿発で中川村でのぶどう狩りと音楽会をセットにしたツアーも、40人限定で組まれるので、僕たち少林サッカーズのメンバーも大挙して押し掛ける予定である。
ツアーの情報は後日、詳細を紹介します。
駅の自販機
2009.07.26 Sunday
「三鷹駅フォームの自販機」
昔住んでいた三鷹。久しぶりに訪れたらいろいろ変化していて驚いた。駅も立派になっていた。JRは民営化されて商売上手になったらしく、エキナカなどといって駅ビルを建ててテナント料を稼いでいる。駅周辺の商店はエキナカショップに客が流れて大変だとこぼしている。しかし、そのおかげでJR運賃が安くなっているのであれば、社員の努力のおかげなのだろう。
JRは旧国鉄時代に莫大な借金を作り運賃値上げばかりしていたが、民営化されて様変わりだ。民営化に反対していた連中はどう思っているのだろう。
三鷹駅のフォームにあらわれたキオスクの自販機を見て、JRの商売上手を考えてしまった。しかし、これから人口減少が進んでくると、今のままの運賃で済むとは思えない。いずれエキナカビジネスも限界に来るだろうから、その時は値上げを覚悟しなければならないかも知れないな。
「西武多摩川線の自販機」
でも、JRばかりではなくて私鉄も頑張っている。西武線や京王線はエアコン付きの待合室がフォームにあったりしてサービスはJRよりもぐーっと良い。運賃も安い。何故なのかは良くわからないが、そうなっている。
ということはJRは相当儲けているという事なのかな。
取材、撮影にでると一番お金のかかるのが交通費なので、乗り物料金には敏感になってしまう。もっと安く移動が出来れば、いろんな事が出来るのにと思う。
高速道路がアメリカのように無料になったら、凄い経済効果があるような気がする。ぜひ実現して欲しいものだ。
犬だって
2009.07.23 Thursday
「GRAPHIS 1989 OCT号」
昨日は猫の写真集を紹介したけれど、犬の写真も昔からよく写真集になっているし、犬を題材にして作品を作っているフォトグラファーもいる。犬の写真の特徴は猫とは全く違う。
一つは、犬が飼い主である写真家の注文を忠実に実行しているところだ。
猫写真は猫のご機嫌を伺いながら撮影しているが、犬写真は写真家の注文を愛犬がいかに上手に実行するかが見所なのだ。
代表的な写真家はウィリアム・ウェッグマンである。
「最良の友」
この写真を見た事のある人も多いだろう。彼の最初の愛犬の名前はマン・レイという。マン・レイは写真界の巨匠の名前だが、それを愛犬につけるところが面白い。
愛犬マン・レイが亡くなった時は、ペットロスシンドロームで作品制作意欲がなくなったといわれていたが、その後フェィレイ、バッティナなど次々に新しい犬をモデルにして作品作りを再開している。
この写真集はどのページを見ても、マン・レイとウェッグマンとの共同作業であることが良くわかる。彼が落ち込んだのも当然かも知れないね。
なかなか売れない写真集だが、人気写真家の写真集というものがある。特に動物写真ではこの人の右に出る写真家は見当たらない。岩合光昭さんである。
「魔法のどうぶつえん」
この本は、先日編集部を訪ねたおりにいただいてきた。岩合さんは「日本の犬」「日本の猫」シリーズが大当たりしたが、どの写真も動物に対する愛情を感じる写真なので、ランドマークタワーギャラリーでの猫の写真展の時には出品してもらった。
この写真集もユーモアと愛にあふれているので、ぜひ見て欲しい一冊である。
猫といえば
2009.07.22 Wednesday
「猫写真集の人気は・・・」
先日、旧知の編集者と雑談をしていたら、本当に写真集が売れないんだよ、とこぼしていた。本が売れないと僕も困るのだが、写真集に限った事ではなくて、全般的に本が売れない時代となった。村上春樹の新作が200万部を突破したと話題になっていても、どうやら焼け石に水のような状態らしい。出版物へ回ってきていた資金が先細りで、Webへと流れを変えたようだ。
しかし、出版社も黙っているわけにはいかない。
売れる本は何なのか?みんな悩んで答えを見つけようとするが、なかなか金脈にはぶつからない。そんな中に、動物写真集はそこそこ売れると読んだ編集部は猫写真に活路をもとめた。
本屋に行くと動物写真のコーナーができるほどだ。
しかし、写真の内容としてはどうだろう。同じような写真ばかりで、いずれ飽きられる。
もっと独創的な写真や、生き物の本質に迫るような写真集を作って行かないと、お金を出して本を買ってくれなくなる。
「ケンブリッジ大学構内に住む猫たちの物語」
上の2冊は、僕がランドマークタワーで猫の写真展をプロデュースしたときのものだ。どちらもしっかりしたコンセプトで猫を捉えていて、飼い猫と野良猫の違いはあるものの、それが見応えのある写真となっていた。
「いろんな見方があるものだ」
しかしながら、この写真集はちょっと気に入らなかった。確かに可愛い仕草を撮っているのだが、とてもわざとらしさを感じる写真だったからだ。作者の猫に対する愛情が感じられないので、写真展をプロデュースするときに選ばなかった。
日本で出版される猫写真集にもこの傾向があるので、編集者は良い猫写真とは何かを考えて写真を選択しなければならない。
でもそれでもなかなか売れないんだよね。
虹を見たか?
2009.07.20 Monday
「タックスタワーとレインボー」
タックスタワーとは文京区役所の事である。バブルが破綻したにもかかわらず、区民の税金をたっぷりつぎ込んで建てられた区役所ビル。最初の説明ではホテルが中層階に入るなど、それなりに賃貸収入で借入金を返す予定だったが、いまだにホテルは入らず、区役所のお役人さまが大きな顔してエアコンのよく効いたビルで、スペースを持て余すように働いている。一体誰のためにこんなビル建てたのか良くわからない。
さて先日、Blue Trikeのレインボープロジェクトを紹介したら、昨日の夕方の東京上空に美しい巨大な虹が現れた。目の前に文京区役所が立ちはだかっているので、全体は撮影出来なかったが、ラクーアのビッグ・オー越しの虹がスナップ撮影出来た。珍しい風景だ。
「虹とサンダー・ドルフィン」
カメラを持ってあちこち撮影に行けば良かったが、昨日はフットサルの練習が響いて疲れ果てていたので、部屋から外に出る元気は無かった。ウーン、この体力ではフォトグラファー失格かも知れないな。もう少し体力、気力をアップさせないとマジヤバい。
「ドームシティとレインボー」
日没間近の虹だったので、夕焼け色が写真に反映されてとても幻想的な風景になった。その幻想的な風景の中に、シリアスなタックスタワーが組み合わされるので、撮っている時も奇妙な感じだったね。
ドームシティーも住民には迷惑なだけだし、再開発でマンションが次々に建ち、区民の人口は増えているような気がするけれど、マンション住民にはコミュニティーが希薄な地域で、
便利な場所だけれど住んでいる実感は得られない。
虹を見るならもうちょっと気が利いた場所で見たかったなぁ。
グスクの謎?
2009.07.19 Sunday
「垣花グスク跡」
城と書いてグスクと読む。シロやジョウではない。知っている方はもちろん沢山いるだろう、沖縄にはこの古いグスク跡が200以上残されている。古いものは築年月が不明で、琉球創世神話の世界にあらわれるアマミキヨたちが築城したというミントングスク(私有地で見学不可)ものこっている。ここが沖縄初めてのグスクといわれている。
そんな大事なグスクが見学出来ないなんて沖縄県は一体何をやっているのだろうか。ちょっと疑問になってしまう。他にもいくつも見学出来ないグスクや史跡があった。残念。
さて、そのアマミキヨらの子供たちが作ったというのが垣花グスクである。石積みはほとんどないので、城として支配者の権力の誇示を狙ったものというよりも、儀式や祭事を行う場所だったらしい。いまでは亜熱帯の森になっているが、僕が訪れたときには、台湾か中国の研究者らしい若い男女の二人連れが、カメラを手にしてあちこち撮影していた。
「具志川グスク」
最近の研究では、グスクはグスクであって城ではないという事が分かってきたらしい。漢字で城と書くから江戸城や大阪城のような戦国時代の城と思ってしまうが、グスクの役割というのは城とは違うという。
ミントングスクや垣花グスクでは儀式や祭事が行なわれていたというのは分かるけれど、やはり按司たちの権力争いはグスクを中心に行なわれていた。古琉球時代に作られたグスクの伝承には面白いものがあるが、この具志川(糸満)グスクには城主が攻められたときに脱出するための穴が残っていた。三方を海に囲まれたグスクは、戦うための城というより海にむかう何か別の目的があったようにも見えた。伊計グスクなどは出入り口が海にある。
城というより、貿易のための拠点のような場所に見える。
「名城グスク跡」
グスクがいろいろな目的で使われていたというのを、視覚的に納得出来たのはこの名城グスクを訪れた時だ。城門をくぐるとまんまるの石が祀られていた。沖縄には霊石信仰があるので、各拝所には自然石が安置され、今でも毎日のように拝まれている。自然を畏怖し祈願するのは、強烈な亜熱帯の自然のパワーの中で暮らしていれば誰でもそうなるだろう。自然の力でまんまるになった自然石を見つけた時、まずグスクに祀り、航海安全や豊作を願うことにしたに違いない。
グスクとはそういう拝所としての役目もある場所だったことが、まんまるの石を見たとき理解出来た。
だから、これからは城という漢字でグスクと読ませず、グスクはカタカナでグスクと表記した方が、歴史的なグスクを理解するためには良いのかも知れないね。
レインボープロジェクト!!
2009.07.13 Monday
「Blue Trikeのレインボープロジェクト」
いつ聴いても彼らの曲は和みますね。
久々にBlue Trikeのライブに顔を出してきました。長野県中川村の「小さな森の音楽会」に、彼らの出演が決定したので、お礼と挨拶をかねて音楽プロデューサーの小倉泰治さんと一緒にライブに行ったわけです。
中川村の「小さな森の音楽会」は詳細が決まり次第このブログで紹介しようと思っています。何せ僕が言い出しっぺなので、一人でも多くの人に音楽会を聴きにきて欲しい、と願っています。
今年は新宿から音楽会とぶどう狩りを組み込んだツアーバスも出ます。40人限定で「日本で最も美しい村」に選ばれた中川村との交流ツアーになる予定なので、こちらも決まり次第お知らせしようと思っています。
それは後日の事として、今日のテーマは写真の「Blue Trikeのレインボープロジェクト」ですよ。これは、虹の七色にひっかけて彼らがシングルCD7枚を次々に発表する計画の事なのですね。現在までに4枚発表済みでした。
面白いのはCDのパッケージのデザインです。シンプルで可愛いところは彼らのイメージにぴったりですね。おまけに、沖縄県のシークァーサーの曲も戴いてきましたが、ひょうきんな曲で面白かった。
この日の渋谷O-CRESTでのライブは、パーカッションを加えて4人の編成でした。
いつもの透明な声が心に染み込みました。
レインボープロジェクトの中の一曲「GO THE WAY」が、三重テレビ放送の高校野球のテーマソングになってました。青春の二文字が浮かび上がってきます。
これは一度お聴きください。お進め致しますよ。
平凡ですが
2009.07.06 Monday
「神田神保町の路地裏の自販機1」
ヒルトップホテル、というのは丘の上ホテルのことですね。有名作家御用達ホテルとして人気があるお茶の水駅近くのホテル。明治大学のすぐ横にあるこのホテルの裏手から神保町に抜ける坂道がある。
本郷からてくてく散歩し、この坂道を利用して行きつけのカフェに向かうつもりで歩いていたら、なんか変な音が聞こえてきた。
何だろうと思って音源を探したら、どうも自販機の方から聞こえてくる。
写真の自販機、左から2番目の自販機らしい。何の音か良くわからないが、日曜日の昼下がり、人通りも少ない路地裏に奇妙な音が響き渡る。都会のミステリーというのであればまだ面白いが、通行人の気を引いてドリンクを買わせるための効果音。
どれほどの効果があるのか分からないが、いい迷惑だよね。日曜ぐらい静かに散歩をさせてくれ、と思ってしまった。
なんとか売り上げを伸ばしたい、それで音を出すことを思いついたのだろう。ちょっと安易な一工夫だ。でも、確かに僕は足を止めて自販機に注意を向けたので、効果はある。でもそれは静かな日だったからである。
これが平日だったら聞こえなかったかも。静かな住宅街にこの機械が置いてあったら五月蝿いと思われるだろうし、効果的にこの機械設置するのは大変だ。
「神田神保町の路地裏の自販機2」
普段は学生やサラリーマンで人通りの多い地区なのだが、隣のラーメン店も日曜日は休みとなっていた。ひっそりとラーメン店横に置いてある自販機には、なんだか慎ましやかなものを感じるね。
俺が、俺がという主張よりも「必要なときにどうぞ使ってね」という控えめな態度に、とても好感を持ってしまう。たかが自販機だけれどそんなもんなんだな。
写真を学ぶ本
2009.07.05 Sunday
「アンセル・アダムス作例集」
写真を勉強しはじめた頃、アンセル・アダムスの美しいモノクロームプリントを見せられて、僕が想像していたのとは違う写真の世界があることを知った。
それ以来、アンセル・アダムスのプリントが作品を制作する時の目標になった。なかでも、彼のゾーンシステムを紹介する本はとても役に立つ教科書となったのだ。露出、ネガ現像、プリントの3部作が出版されていた。
しかしデジタルとなったいまは、写真の基本を知らなくても、とりあえず誰でもきれいに写真が撮れるようになった。暗室に入らなくてもプリンターで気軽にプリントを楽しめる。
こういう時代になり、プロとアマチュアの差が無くなっているという編集者もいるが、僕にはそう思えない。どうでもよい簡単な商品カットならカメラマンでなくても撮れるようになったけれど、シズル感のある魅力的な写真はプロでなければ撮れないし、それなりの勉強が必要だと思う。
「こんな本を作ってました。」
別冊宝島の仕事で、昔こんな本を作った。まだデジタル写真が無い時代のものだが、写真の歴史を現在活躍している写真評論家やキューレーターたちが、それぞれのテーマを解説している。今思えば、まだ当時は写真が熱い時代であった。1970年代はもっと熱かったけれどね。新宿で石を投げるとカメラマンにあたると言われたほどである。
「スーザン・ソンタグの写真論」
これはフォトグラファーになりたい人たちは絶対読まねばならない。必読書だ。
写真の持っている力が良くわかる。
「これではだめだ」
入門書ということだが、あまり参考にはならない。僕もインタビューを受けている。
まずカメラマンとフォトグラファーの違いが説明されないといけない。
同じだと思う人もいると思う。でも、カメラマンはカメラを扱う人という意味なので、映画やテレビでも使う言葉だが、写真の場合はフォトグラファーである。フォトグラフを制作する人だからだ。
日本では、写真の内容よりもカメラという機械そのもの方が人気があって、以前アサヒカメラの編集者と話ていたら、うちの本は写真誌ではなくカメラ誌ですから、といわれたことがある。その時初めて「そうなんだ」と理解した。新機種の特集のときはよく売れるからだ。
さて、プロになりたい人がいたら明日からプロだと宣言すれば良い。国家試験など関係ないので、売れる写真が撮れるなら仕事がもらえる。そうして写真で稼げば立派なプロである。
だから写真は面白い
2009.07.03 Friday
「ジョイス・テネソン」
写真なのに絵画のような写真をとる写真家たちも多い。
ジョイス・テネソンもその一人、彼女のHPをみるとその作品が良くわかる。
写真特有のシャープネスやコントラストなどを拒否し、わざとコントラストを落としたりフワーッとした映像に仕上げ、記録やリアリティーよりも自分のイメージを写真で切り取っていくのである。
でも、これが写真家にとっては一番重要な仕事かもしれない。
写真が発明されてから、ネガにイメージを定着させ、プリントすると同じものが幾つも作れるという機能を持っているために、あらゆる産業に利用されてきた。医学、IT産業、印刷、工業など写真の恩恵を受けている。
これは、いかに精度を高く被写体を再現できるのか、写真は本物そっくりに写すことを追い求めてきた歴史からすれば、否定されるものではない。
しかし、写真の面白さは被写体をきれいに写すことではなく、写真家の追い求めるイメージをいかにプリントに表現するか、で問われるべきなのだ、と思う。
「アンナ・ケール」
この写真集はちょっと不思議だなぁと思って購入した。構図もピントもすべてが曖昧というか甘いというか、だからつまらない写真というわけではないのだ。ファッション写真というわけでもない。
伝えたい、表現したいという気持ちが伝わってくるので見ていて楽しい。
ヘタウマという言葉が流行ったけれど、写真でもおなじだな。
「上田義彦 写真集」
日本人の写真家で上手だなぁ、と思うのは上田義彦さんだ。桐島カレンのご主人でもある。
写真のもつ気持ち良さを100%引き出していると思う。構図、トーン、色使い、被写体のポーズ等々どれをとってもしっかりしている。
しかも、人物写真、風景写真の差がない。鋤田正義さんの助手をしていたとの話を聞いたことがある。よほどしっかりした写真を学ばれたのだろう。
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